ところが、滞在の最中も後も、イングランド国内は盛り上がりに欠けていました。視察団に好印象を与えたかと訊かれれば、疑問符が付いてしまうほどです。どこかでイングランドの人々は、「2018年のワールドカップはイングランドで決まり」と、タカをくくっているのではないでしょうか? アピールが足りないように感じています。

実際のところイングランドは、もはや2018年大会開催の最有力候補ではないと、わたしは考えています。相当に旗色が悪くなっているからです。
最大のライバルは、大国ロシア。ここ数か月というもの、招致に大金をつぎ込んで積極的なロビー活動を展開しており、ロシア政府も大々的にバックアップしていると聞きます。イングランド訪問の直前に立ち寄った視察団も、ロシアの招致委員会の熱心さに、ずいぶんと感銘を受けたようです。
アフリカ大陸で初めて開催された今夏の南アフリカ大会が、当初の予想に反して成功裏に終わったという事実も、ロシアにとっては追い風です。このタイミングを見落としてはいけません。
自信を深めたFIFAは、今後もフットボールの普及に貢献できる国や地域を重視し、“初めて”の開催で、インフラ整備やスタジアム建設が推進される金の卵のような候補国に、チャンスを与えていこうと考えるに至ったのです。
イングランドはすでに1966年大会を開催していますし、いますぐにでもワールドカップで使えるスタジアムは国内に数え切れないほどあり、アクセスもパーフェクト。ワールドカップ開催によってイングランド国内に、あるいは世界のフットボールシーンになにかしらの新鮮味を提供できるかというと……。そう考えるなら、フットボールのビッグトーナメント開催そのものが初めてとなるロシアは、FIFAにとっては魅力的でしょうし、間違いなくメリットも大きいでしょう。
FIFAは1994年のアメリカ大会の成功も忘れていません。莫大な収益を生み、大会後、アメリカのフットボール競技人口は爆発的に増加しました。どの国で開催すれば、確実にテレビ放映権料を釣り上げられるか。開催することで次の世代に“遺産”として残せるか。こういった点も、FIFAは重視する傾向にあります。
残念ながら、イングランドでワールドカップが開催されても、大会後は、いつも通りの“日常”がやってくるだけのこと。フットボール発祥の地にして、世界でも屈指のフットボール文化を持つがために——。
フットボールの世界的な発展と拡充を意識する現在のFIFAにとって、伝統国イングランドは、旨みのある国ではないのでしょう。でも、2006大会を開催したドイツがそうであったように、伝統国で開催するからこその“深み”はきっとあるはずで、「これこそが真のワールドカップだ!!」と言える瞬間を、ファンに提示する義務もあるはず。わたしはそう感じるのです。
開催地は、12月2日のFIFA理事会で決定されます。日本が招致を目指している2022年大会の開催地決定も、同日に行なわれますね。
お互いに最後まで希望を捨てず、吉報を待つこととしましょう。
Have a good weekend!!
]]>ワールドカップ後の親善試合(ハンガリー戦/2−1の勝利)で、積極的に将来有望な若手を試すなど新機軸を打ち出し、スリーライオンズ(イングランド代表の愛称)はカペッロ監督の下、新たな船出を切りました。ファンもおおむねそのアプローチを支持していましたが、直後の会見で発した言葉が、フットボールファンのみならずイングランド国民の逆鱗に触れたのです。

そう、デイビッド・ベッカムの代表引退勧告です。カペッロはベッカム本人に一言も相談することなく、みずからの判断で「デイビッドはもうインターナショナルレベルでプレーすることはないだろう」と発言。もちろん、代表監督なのですから、招集する選手の決定権は彼にあります。普通の選手ならそれでいいのかもしれません。でも、相手はイングランドという国のアイコンであり、老若男女を問わず絶大な人気を誇るベッカム。やや思慮を欠く発言だったと言わざるを得ません。
英国メディアの間ではもはや、ベッカム批判はタブーとなりつつあります。国民からそれだけの支持を集めているベッカムですから、どのメディアも彼のことはデリケートに扱います(ゴシップ系はのぞく)。すなわち、メディアはベッカムの味方。ベッカムがこのカペッロ発言を受け、「テレビのブラウン管を通して初めて知った」とコメントを出すと、これを一斉に報道しました。カペッロ・バッシングのエスカレートに一役買ったわけです。
タイミングも最悪でした。
ベッカムは来る2012年のロンドン・オリンピックの広報活動の一環でシンガポールを訪れている最中でした。本人が望む望まないにかかわらず、いつでもスマイリーにそういった役割をこなす。自身の立場を理解し、なにが求められているのかを常に考えて行動しているのです。もちろん、2018年のワールドカップ招致のロビー活動でも先頭に立っています。恵まれない子供たちの基金立ち上げに尽力したり、かと思えば、英国で人気のコメディーショーに出演したりとフットワークも軽い。期待に最大限で応える男、それがデイビッド・ベッカムなのです。

当然、そんな彼を、国民は愛してやまない。たしかに、選手としてのパフォーマンスはピークを過ぎたのかもしれませんが、ベッカムとイングランド代表の関係は特別なもの。日本のファンの方でもたやすく想像できるでしょう。カペッロは2年近くも英国に住んでいて、わからなかったはずもないと思うのですが……。
ワールドカップでの失態を受け、自身と代表チームの信頼回復の好機をみすみす逃してしまったカペッロ監督。これからも茨の道が待っていそうです。
もしかしたらベッカムが後釜に……。時期尚早なためさすがにないでしょうが、将来的には十分にあり得ることです。彼は引退後、監督業には就かないことを明言していますが、代表チームなら話は別でしょう。まさに、愛国心の塊のような人物ですから……。
Have a good weekend!!
]]>とはいえ、ロンドンにおけるフットボールを取り巻く雰囲気は、例年のプレーシーズンほど、まだ盛り上がってはいません。それは、なぜか。先のワールドカップでイングランド代表が不甲斐ない内容に終始したから、が、その理由ではありません。
7月27日、ロンドンは、夏季オリンピックまでちょうど2年となる節目の日を迎えました。そこかしこでカウントダウン・イベントがスタートし、各エリアにかつてのメダリストや人気アスリートが参加。新スタジアムの建設状況や新たなインフラの整備などが一斉にメディアを通して紹介され、空前のヒートアップを見せているのです。
※下写真は東ロンドンに建設中のオリンピック・スタジアム。

オリンピックを楽しみにしているというロンドナー(ロンドンっ子)は、実に75%。そのほとんどが開催時、サマーホリディで国外へ出かけることなく、ワールドカップと並ぶ世界最大のスポーツの祭典を堪能すべく、ロンドンにとどまると回答しています。
ロンドンの大会組織委員会は、約7万人のボランティアの募集も開始しました。彼らは“Game Maker”と呼称されることが決まっています。こういったネーミングは、いかにもイングランド人らしいですね。
プレミアリーグの会場でもボランティアたちは、長い歴史と伝統のもと、セキュリティの一翼を担うなどスタジアム運営に携わってきましたが、“ともにゲーム(試合または競技)を演出している”という位置づけなんです。わたしの過去の取材経験からして、オリンピックやワールドカップの成功には、ボランティアのホスピタリティーは不可欠な要素。でも、イングランドには元々、根深いところにボランティアの理念が浸透しています。応募は殺到するでしょうし、相当に激しい倍率となるでしょう。そして、彼らボランティアが素晴らしい“名脇役”となることは、すでに約束されたようなものだと思っています。
わたしはすでに、オリンピック・チケットの登録を済ませました。なんともう始まっているんですよ!! 本格的な販売は来年の春からですが、興味のある方は大会の公式HP(http://www.tickets.london2012.com/)に、ぜひ!!
※下写真の左はオリンピック・マスコットのウェルロックで、右がパラリンピック・マスコットのマンデヴィル。

それでは2年後、ロンドンでお会いしましょう(笑)。
Have a good week!!
]]>ちょうど1週間前、わたしはヨハネスブルクに滞在していました。5試合を観戦し、素晴らしい思い出となりました。

まず改めて感じさせられたのは、南アフリカの人々のホスピタリティーの素晴らしさです。懸念されていた治安面ですが、わたしはただの一度も、危ない場面に遭遇することはありませんでした。情報に惑わされることなく、みなさんにもぜひ訪れてほしい国です。
そしてなによりも、日本代表の健闘ですね。パラグアイとの決勝トーナメント1回戦を現地観戦して感じたのは、4年前のドイツ大会のチームとは比べ物にならないほど、ポジティブなチームに成長していたということ。それだけにPK戦で敗れたことが残念でなりませんでした。
日本代表にとって大きなステップとなったのは、彼らが世界中のファンに認知されたという点でしょう。日本代表にはどんな選手がいて、どんなフットボールをするのか。いまとなってはわれわれも、容易く想起することができます。

今回の南アフリカ大会まで、日本代表は3度ワールドカップに出場しています。でもわたしは正直、過去3大会の彼らにイメージを抱くことはできませんでした。見る者の胸を打つファイティングスピリットと、組織化されたモダンなスタイル。そして本田圭佑や川島永嗣など、素晴らしいタレント力。わたしも友人や周囲の関係者から、ずいぶんと日本代表について尋ねられたもの。こんなことはかつてなかったことです。
本当に、大きなステップを踏みました。チームはベスト16で敗れてしまいましたが、それ以上に大切ななにかをつかんだのではないでしょうか。わたしは心の底から、そう感じています。おめでとう、日本代表!!
さて、もうすぐヨーロッパの新シーズンも始まりますね。いろいろと注目どころも多いシーズンですが、やはり、イングランド代表のワールドカップでの大失態を受け、プレミアリーグとイングランドのフットボール界がどのような反攻を見せてくれるかが、個人的に関心度の高い事象です。
それではまた。
Have a good weekend!!
]]>そのヨハネスブルグの中心街であるサントンは、1年前とは比べものにならないくらい、活気に満ち溢れています。バーやレストラン、ショッピングセンターが軒を連ね、とりわけネルソン・マンデラ広場の人だかりには凄まじいものがあります。
そしてその広場の一等地に設置されたのが、「3D World Created by SONY」です。さっそく足を運んでみました。

内部はまるで、ミニシアターのよう。3Dグラスを手渡され、SONYの3Dテクノロジーを体感することができます。デモ映像ではブラジル代表のカカが、こちらめがけて豪快なシュートを撃ち込んでくるのですが、思わずボールを手で振り払い、のけぞるような仕草をしてしまいました。
1930年にスタートした頃、ワールドカップはまだ、数枚の写真でしか報道されていませんでした。ところが、54年大会でラジオ放送が始まり、70年大会ではカラーテレビ放送がスタート、そしていまや3D中継の時代に突入したのですから、80年間の進化には目を見張るものがあります。
SONYの3Dテクノロジーはもちろん、フットボールに関わるものだけではありません。エンターテインメントの世界でも、すでに導入が進んでいます。
今大会のオフィシャルソングが、「Waka Waka (This Time for Africa)」。これを歌っているのがShakiraです。何度もテレビ中継のたびに彼女のパフォーマンスを見てきましたが、3D映像で見る彼女はまたひと味違いました。臨場感に溢れ、会場にいるほとんどの人を熱狂の渦に巻いたのです。ちなみにShakiraは、3D映像のほうが数段美しくも見えました!!
これからも様々なアーティストの3Dライブが予定されているそうで、映画を含めて、トータルアミューズメントを追求するSONYのチャレンジから、目が離せなくなりそうです。
そんな最新鋭の設備を備え、未来を明るく照らすSONYのスタジオが、南アフリカという国の歴史が凝縮されたネルソン・マンデラ広場のど真ん中にある——。この“新”と“旧”の鮮やかなコントラストに、心を奮わされました。
さあ、ワールドカップも残るは8チーム。わたしの応援するイングランドも日本も姿を消してしまいましたが、まだまだ熱のこもったゲームが続き、われわれを興奮させてくれることでしょう。
Enjoy the World Cup!!
]]>老若男女を問わず、だれもがスリー・ライオンズ(イングランド代表の愛称)の話題でもちきりです。ほとんどの自家用車にはセント・ジョージ旗(イングランドの国旗)がなびき、第1戦の前などは、「アメリカなんて軽くひねってしまえ!!」というムードに満ちていました。

家の近所で見かけた70歳前後のおばあちゃんも、真っ赤なド派手のTシャツを着こみ、胸には「イングランドで一番の追っかけよ!!」と書かれていました(笑)。
ところが……!!
なんとゴールキーパーの信じられないミスで1−1のドロー。もちろんロバート・グリーンは、我が愛するウェストハムの選手です。弁解の余地もありません……。ただ、このアメリカ戦でベストのパフォーマンスを見せたのが、ウェストハム出身のグレン・ジョンソンだったこともお忘れなく。

そしてついにと言うべきか、就任以来、初めて巻き起こっているのが、ファビオ・カペッロ監督への批判です。
大半はゴールキーパーに関するもので、なぜ早めに第1キーパーを確定させなかったのかと。大一番でミスをしたグリーンだけでなく、最終的に控えに回ったジョン・ハートとデイビッド・ジェームスの両者も、かなりのプレッシャーにさらされ、ナーバスになっていたからです。
ただ、わたしは楽観視しています。グループCにおいて、イングランドがいまだ優位なポジションにいることに変わりはありません。得てしてバッドスタートを切ったチームは、その後上昇曲線を描くものですし、彼らは敗れたわけではないのですから。
そしてイングランドのファンやメディアの間でも問題視されているのが、あのブブゼラです。あまりにもノイジーで、ブラウン管を通してでも十二分に不快感を与えてくれます。

ちょうど1年前、コンフェデレーションズ・カップで南アフリカを訪れた際も、ブブゼラは問題になっていました。それでも大会関係者は、「まったく問題ないはずだ。海外からやって来るファンやサポーターも同じようにブブゼラを使い、楽しんでくれるはず」と自信を持っていましたが、いざ大会が始まってみると、南アフリカ以外の人々の間で使われているとはとうてい思えず、世界中の批判にさらされています。選手たちには、慣れてもらうしかないのでしょうが……。
さあ、土曜日は日本対オランダ戦ですね。
Good luck Japan!!
]]>
試合はロンドンの時間で、13時15分のキックオフ。休日のそんな時間ですから、たとえイングランド代表にとって、登録の23人枠を占う重要な位置づけのゲームだったとはいえ、英国内の関心度は低かったと言わざるを得ません。残念ながら、相手が日本、というのもその要因のひとつです。
英国内で、日本の試合をフルでテレビ観戦する機会など、ほとんどありません。私は日本代表のファンですからもっと見たいのですが、当然、人気も知名度も相当に低いのです。メディアも、「10−0でイングランドが勝つ」や、「価値のないテストマッチ」「アウトサイダーの日本とのゲームを篩(ふるい)にしていいのか」など、言いたい放題でした。
それにしても、日本代表チームへの風当たりは相当に激しかったようですね。ホームで韓国に完敗を喫してずいぶんとバッシングを受けていたようで、楽観論なんてかけらもないと、日本の多くの友人が教えてくれました。だから私も、ちゃんと試合も見ていないのに先入観だけで、「魅力の乏しいチーム」とみなしていたのは確かです。
ところが、「それって本当?」と言いたくなるくらい、この日の日本のパフォーマンスにはいい意味で、ショックを受けました。もしゲーム前に、日本がイングランドを相手に3ゴールを奪うだろうと言われていたら信じませんでしたが、実際に彼らはやってのけたのです。不運にもそのうちふたつはオウンゴールでしたが!!(冗談です)
興味深かったのは、時間が進むにつれてイングランド代表の選手たちがフラストレーションを溜め、日本の選手に対するラフプレーやファウルが多くなっていった点です。きっと、軽く見ていたのでしょう。じわじわとイングランドの本気度が高まるのを見るのは、じつに痛快でした。

さらに面白かったのは、試合後の英国メディアの反応です。「弱い日本に大苦戦」という論調よりも、「アグレッシブな日本に、スイッチを入れてもらった」といったニュアンスの、好意的なものが多かったですね。彼らもずいぶん、日本のプレーに驚かされたようです。
もちろんひとつのテストマッチに過ぎませんが、日本にとっては自信につながる90分間となったのではないでしょうか。オランダ、カメルーン、デンマークと聞けば強豪揃いのイメージで、厳しいグループだと思われがちですが、私は十分、日本にもチャンスはあると思っていました。ただ、彼らにあって日本にないものがあります。ゲームの“終え方”“締め方”とでも言いましょうか、チームとしての経験値のところ。とはいっても、イングランド戦のパフォーマンスを見て、あの組織力を90分間持続できるなら、それをも覆せるのではないかと、私は感じました。
選手個々の技術については、間違いなくハイクオリティー。やはりワールドカップのような舞台で勝敗を分けるのは、プロフェッショナリズムの部分になります。これからの1週間で、日本にはそこを重点的に、高めていってほしいと思います。
これまでのバッシングを力に変えて……。

頑張れ、ニッポン!!
Have a good week and enjoy the World Cup!!
]]>もちろん、ピッチ上で繰り広げられるゲームと選手たちのパフォーマンスが最大の関心事で、なにより、丸1か月もの間、世界中がフットボール一色に染まるのだから、たまりません(奥さんやパートナーたちには迷惑なことかもしれませんが)。
わたしにとっては、もうひとつ楽しみなことがあります。
ワールドカップの期間中、テレビのブラウン管を通してであったり、ラジオであったり、そして街角でも、嫌というほど目に飛び込んでくるのが、星の数ほどのコマーシャル(広告)。様々な企業がこの4年に1度のビッグトーナメントを活用し、アピールしようと躍起になります。そのため、コマーシャルそのもののグレードが著しく向上するのです。興味深いキャンペーンもたくさんあります。

Currysは、英国の有名な家電製品店です。ここのキャンペーンが面白い。
なんとワールドカップ期間中、イングランド代表が1ゴールを決めるごとに、10ポンド(約1300円)がキャッシュバックされるというのです。わたしの予測だと、グループリーグだけでイングランドは6〜8ゴールは決めるでしょうから、決勝トーナメントを勝ち上がってファイナルにまで到達したら……。いずれにせよ、相当な額のキャッシュバックが期待できます!
SONYが最近になって英国内のテレビ販促に展開しているTVコマーシャルは、とてもユニークで、評判も上々です。
かつてイングランド代表監督を務めた、グラハム・テイラーとテリー・ベナブルスが登場。Bisham Abbey Retirement Homeと書かれた施設で余生を過ごす、老人役を演じています。古めかしい真っ赤な代表ジャージもよく似合っています(※Bisham Abbeyはイングランド代表のトレーニングセンター)。
そしていよいよ、ワールドカップの「イングランド対アメリカ戦」の中継が始まります。新型のテレビを運ぶように指示する“お手伝い役”が、現役時代、彼らふたりの元でプレーしたスチュアート・ピアスというのも粋な人選です。
しかし! キックオフ寸前にやってきて、彼らふたりの前にどかっと腰をおろしたのが、イングランドの天敵であるスコットランドの伝説的英雄、ケニー・ダルグリッシュ。なんとアメリカを応援するマフラーを手にしています。
ピアスに指示を飛ばすベナブルス。ダルグリッシュを強制排除して、深くうなずくふたり……。日本ではまずオンエアされることはないと思いますが、イングランド人にとってはツボにはまる、最高に笑えるコマーシャルなんです!
ですが、ここまでのところ、わたしにとってのナンバーワンは「Walker」。英国でもっとも有名なポテトチップスです。ちなみにコマーシャルのキャラクターにはガリー・リネカーが採用されています。
面白いのは、ワールドカップ期間限定で、15種類ものフレイバー(味)を提供している点。パッケージも15色に分かれ、それぞれが出場国のユニホームカラーをあしらっています。で、主に以下のようなフレーバーがエントリー。

ブラジル版がサルサ風味、アメリカ版がチーズバーガー風味、フランス版がガーリップ・ブレッド風味、オランダ版がエダム・チーズ風味、オーストラリア版がバーベキュー・カンガルー風味、イタリア版がボロネーゼ風味、英国版がローストビーフ風味とヨークシャー・プディング風味、そして、日本版がテリヤキ・チキン風味!
まだすべてのフレーバーを試したわけではないのですが、サルサ風味はNo good、テリヤキ・チキン風味はExcellentとだけお伝えしておきます。
世界中がお祭り騒ぎになる1か月。ピッチの外も、楽しみがいっぱいです。
Have a good week!
]]>そんな大人たちの関心をよそに、我が愛する息子が執心なのは、
“いかにトニー・ピュリス(ストーク監督)をゲットするか”
いま、フットボール・クレイジーの息子を持つイングランドのパパたちは、この数か月で爆発的なブームを巻き起こしているMatch Attaxの存在 に悩まされています。これは、プレミアリーグ公式のトレーディングカードで、我が息子のルーカスも、友人たちとカードを持ち寄っては交換したり、自慢し合ったり、作戦会議を開いたりと、ああでもないこうでもないとやっているわけです。

毎週土曜日、ルーカスは3ポンド(約420円)をMatch Attaxに費やします。土曜日の自分のフットボールゲームが終わると、一目散に私の元に駆け寄ってきて、一番近い売り場へと連れていきます。1パックが50ペンス(約70円)なので、毎回6パックを買っている計算になります。
カードの袋を開けるや否や、一喜一憂しながら嬉しそうに、特製バインダーにしまっています。面白いのは、ルーカスはカードに登場するあらゆる選手のことを知っていて、その知識たるや、大人のフットボールファンを凌ぐほど。言わば、プレミアリーグ全体を俯瞰して見ているわけですね(もちろんカードのために!!)。

先週、ルーカスの友だちがウチに遊びに来た時のことです。彼もルーカスと同様、特製バインダーを持参。そこで彼らは、チェルシー対ストークのゲームをテレビ観戦することになりました。試合前のスターティングメンバー発表の時、各選手のカードを持っている持っていないで大騒ぎ。彼らはゲームのクライマックスを、キックオフ前に迎えてしまうのです。
瞬く間に上級者となってしまったルーカスは、あと数枚でコレクションを完全なものとできるようですが、となるともはや“戦いの場”は店頭ではなく、インターネット・オークションやカード交換のスペシャルサイトへと移行しています。ああ、まるで「チャーリーとチョコレート工場」に出てくるゴールデン・チケットのごとく……。
ただ私は正直なところ、Match Attaxに熱中する少年少女の姿を見るのは、嫌ではないんですね。たかがカードですが、フットボールを通して、パパやママとコミュニケーションをとるツールになりますし、みずから進んでなにかを探索しようとする冒険心が生まれるのも良いところです。社会現象に近く、今後さらにブームに火が付きそうなため批判も多いようですが、私もルーカスとともに戦い抜こうと決心している、今日この頃です。
少し気になっているのは、Match Attaxがどうやら、期間限定のワールドカップ・バージョンを企画しているという点です。
となれば、毎週3ポンドでは済まないかも……。
ちなみに「トニー・ピュリス」はレアカードのひとつですが、ルーカスはついにゲットしました。

Have a good weekend!!
]]>FIFAのオフィシャルパートナーであるソニーは、今回の南アフリカ大会において、史上初めてワールドカップのスタジアムに3Dカメラを持ち込み、フットボールマッチの映像化を試みるのです。その数はじつに25試合。今回はそのデモ映像を試写させてもらったというわけです。
到着するやいなや、特殊な3Dグラスを手渡されました(写真)。

正直言って、わたしのなかで疑念はありました。「フットボールを3D映像化して、はたしてスタジアムの臨場感は維持されるのだろうか」と。しかし、デモ映像を観るや、そんな想いは遠い彼方へと吹き飛んでしまいました。
その迫力たるや凄まじく、ピッチとスタンドの奥行きも十二分に立体化されていました。いったいどれだけの労力と歳月、そして開発資金を投じてきたのでしょう。ソニーのテクノロジーの素晴らしさに唸らされるとともに、ついにテレビ放映も新たな時代に突入したのだと実感させられ、興奮しました。
わたしが初めてワールドカップをテレビ観戦したのは、1974年の西ドイツ・ワールドカップのファイナルでした。西ドイツとオランダの間で争われた名勝負ですね。初めて世界中にライブで、しかもカラー映像で配信された放送でした。当時の人びとに与えた衝撃はとてつもないものだったはずですが、今回の3D映像もそれに匹敵するほどのインパクトを与えるはずです。
ワールドカップ開幕まであと2か月弱。この3D映像があれば、たとえスタジアムに足を運べなくとも、満足の行く臨場感を味わうことができるでしょう。専用のテレビを手に入れなければいけませんが、かつてのカラーテレビがそうであったように、実用化されて普及しだせば一気に世界中へ広がっていく——。わたしはそう予測しています。
興奮気味に帰宅して、妻に3D映像の話をしました。そのテクノロジーの話以上に、彼女が驚いたことがあったそうです。
「そんなエキサイトしてるあなたを観るのは、何年ぶりかしら」

ちなみにライブで3D放送されるのは、日本では6月19日のオランダ対日本戦と7月11日のファイナルの2試合だそうです(編集部・注/日本では前述の25試合を、6月20日から順次放送予定)。
わたしもここ英国で、1試合だけでもなんとかして観てみたいもの。みなさんもトライしてみてはいかがでしょうか?
それではまた。
Have a good weekend!!
]]>わたしの予想は断然ユナイテッド。イングランド自慢のタフネスがカタランズ(カタルーニャ人たちの意)の野望を粉砕するだろうと、信じて疑いませんでした。
ところが……。わたしの価値観こそが、木っ端微塵に打ち砕かれたのです!!
バルセロナが魅せたパスとテクニックのクオリティー、そして、11人が連動する流麗なチームパフォーマンス。舌を巻かされ、フットボールとはいかにプレーすべきスポーツなのかを、あらためて教えられたのです。

そんなわたしと同じように、英国のフットボール・ファンの大多数は、イングランドのクラブこそが世界一だと確信してきました。ですが、この1年ほどの間で、その価値観が微妙に揺らぎはじめているのを実感しています。
もう何シーズンにも渡ってプレミアリーグは、国外に向けたテレビ放映の配信国数が世界ナンバーワンです。たしかにスピーディーな展開とハードなぶつかり合いは、お茶の間のファンにはわかりやすく、観る者に飽きさせない興奮を運んでいるのでしょう。
ただ、あの“世紀のファイナル”以降、「ベストのフットボールとはなんなのか?」と自問自答を続けてきました。で、いまとなっては自信を持って、「ベストはイングランドに決まっている!!」とは言えなくなってきている自分がいます。最近のCLのゲームを観ていても、深く考えさせられることばかりです。
準々決勝の第1レグ。バルセロナは、プレミアリーグでは「観ていて面白い」とされるアーセナルを戦術上でもパフォーマンス上でも上回り、魅せて勝つスタイルをさらに進化させている印象を受けました。たしかに2−2のドローに持ち込んだアーセナルの闘志には賛辞を贈りたいのですが、少し次元が違うなと痛感させられました。
決勝トーナメント1回戦(第2レグ)でチェルシーを破ったインテルにしてもそうです。スタンフォード・ブリッジ(チェルシーの本拠地)で彼らが魅せたチームプレーは、それまでのイタリアン・スタイルとは一線を画する洗練されたもので、かつ、観る者の心に触れる娯楽性がありました。

過去5シーズンにわたって、プレミアリーグ勢はファイナルの舞台に勝ち進んでいます。でもそのうちどのクラブが、観る者のメモリーに焼きつけるインパクトを与えたでしょうか。“Great Team”として歴史に名を残せたでしょうか。
チェルシーのオーナーであるロマン・アブラモビッチは、チームに結果だけでなく、ファンを魅了するフットボールをも求めています。とはいえプレミアリーグでそのふたつを求めるのは無理というもの。バルセロナを買収するしかないでしょう!!
いまやヨーロッパのキーワードは、“魅せて勝つ”へと変わってきています。英国のファンも、かつては国内のフットボールにしか関心がありませんでしたが、いまでは日常的にCLやリーガ・エスパニョーラを観るようになっており、嗜好は多様化してきています。
真似をしてほしいとは言いません。ただひとつ。フットボールの母国として、ベストと感じさせてくれるクラブが出てきてほしい。これは、わたしの身勝手な願いなのでしょうか?
と考えていたら、プレミアリーグ勢(ユナイテッド&アーセナル)はCLから姿を消すこととなってしまいました……。
それではまた。
Have a good weekend!!
]]>
とりわけ、フェルナンド・トーレスとスティーブン・ジェラードのコンビが奏でるアタックは、圧巻の一語で、エンターテインメント性にも秀でていました。
いったいだれが、彼らの凋落を予想できたでしょうか——。
たしかに、クラブの財政は火の車で、絶対的な司令塔であったシャビ・アロンソをレアル・マドリーに放出したことをきっかけに、主力に怪我人が続出するなど不運にもたたられました。ですが、そこは名門クラブとして、堪えどころでしょう。どんなチームにも浮き沈みはあるわけで、そういったとき、いかにしてリカバーできるかがスモールクラブとは違う点です。
そう考えれば現在のリバプールの低迷は、ラファエル・ベニテス監督をはじめ、チームを包むムードそのものに原因があるように思えてなりません。求心力の低下は、目もあてられないほどです。

現在の彼らの敵は、ビッグ4のライバルであるユナイテッドやチェルシー、アーセナルではなく、トッテナム、アストン・ビラ、マンチェスター・シティとなっています。優勝争いからは早々と脱落しており、つまるところ、来シーズンのチャンピオンズ・リーグ出場権が与えられる4位の座を、彼らと争っているわけです。
4位に食い込めるか。英国のメディアもこぞってそのテーマを論じています。なぜなら、CLの出場を逃せば財政面はもとより、チーム自体のモチベーションも底をつくとだれもが感じているからです。となれば、指揮官のベニテスを含め、数多くのビッグネームが退団するシナリオも、十分に考えられます。
なかでも去就が注目されているのが、トーレスとジェラードのふたりです。
幼いころからリバプールでプレーしてきたジェラードは、生涯リバプールひと筋を貫くだろうと、だれもが信じています。はたしてそうでしょうか。彼も5月(30日)で30歳。そのポテンシャルからすれば、これまでに獲得したタイトルはあまりにも少ないと言わざるを得ません。より多くの栄光を求めるなら、慣れ親しんだ地に別れを告げてもおかしくはないはずです。「現役をリバプールでまっとうしたい」、「一度でもいいからリバプールでプレミアを制覇したい」とつねづね口にしてきた孝行息子ですが、その可能性は遠のくばかりです。
トーレスの場合は、ジェラードよりも軽やかに、旅立ちの日を迎えるでしょう。生え抜きであるジェラードと違い、彼にはさしたる“しがらみ”がない。チャレンジ精神の塊のようなプレーヤーであることから、タイトル奪取が至上命題となっているようなビッグクラブから好条件のオファーが届けば、心も揺れるはずです。行き先は、バルセロナ、チェルシー、マンチェスター・Cの3つが有力視されています。まさかレアル・マドリーに行くなんてことはないでしょう!(注/トーレスはR・マドリーのライバルであるアトレティコ・マドリーの下部組織出身)
ただ、トーレスの放出は、一選手の話にとどまるものではありません。ワールドワイドなマーケティング戦略を展開しているリバプールにとって、彼はもっとも重要な“コンテンツ”となっているからです。
その価値はいまや、ジェラードをゆうに凌ぐほど。トーレスもジェラードと同様に、タイトルを欲してやみません。そのための補強もなく、CLの出場権をも逃すこととなれば、彼がリバプールにとどまる理由はなくなります。3シーズンを過ごしたマージーサイドを離れる日は、確実にやって来るでしょう。
3月21日、敵地オールド・トラフォードに乗り込んだリバプールは、ユナイテッドに1−2と敗れ去り、またしても足踏みを余儀なくされました。さすがに積年のライバルが相手だっただけによく奮闘しましたが、最後は地力の差が出たといったところでしょうか。

そのゲームで、ユナイテッドのサポーターがこんな言葉を使いながら、リバプールのサポーターに向かって、歌っていました。
“Thursday night, Channel 5!!”
どういった意味か分かりますか? CLは普段、火曜日か水曜日に試合が行なわれます。木曜日に行なわれるのは、ヨーロッパ・リーグ(EL)。そしてそのELを英国で放送しているテレビ局が、『チャンネル5』というわけです。つまり、4位の座はもう危ういから、「木曜の夜、チャンネル5で会いましょう」といった意味合いなのです。うまい表現だなと思いましたが、リバプールのサポーターは頭に血がのぼったことでしょう。
ただ、リーグカップもFAカップもすでに敗退し、リーグ戦は現在6位。ELの出場権(5位)さえも厳しくなっており……。
リバプールはピッチ内外で、プレミアリーグ終盤戦の隠れた“主役”になりそうです。
それではまた。
Have a good weekend!
Steve
]]>
ベルナベウ劇場の演目はまだまだ続きます。
有名なアリア『誰も寝てはならぬ』がベルナベウに響き渡ります。ルチアーノ・パバロッティの歌が90年イタリア・ワールドカップの英国でのテレビ中継のオープニングに使われ、英国チャートでナンバーワンヒットを記録した、懐かしい曲です。これはうっとりと聞き惚れてしまいました。
そしてふたつの巨大なオーロラビジョンには“白い巨人”レアルの歴史を彩ったスターたちのプレーシーンが流されます。チャンピオンズ・カップ決勝で素晴らしいボレーを放つアルフレード・ディ・ステファノ、エミリオ・ブトラゲーニョ、怪物ロナウド、ロベルト・カルロス、デイビッド・ベッカム、ジネディーヌ・ジダンとレアルの歴史に留まらず、フットボールの歴史に残る、偉大な瞬間が映し出されていきます。
ハイライトショーが終わると、照明が灯り、ベルナベウは真昼のように明るくなります。まるでカーテンが上がった劇場のようです。いよいよ試合開始です。
この試合の勝利によってレアルはついにバルセロナを抜いて、リーグ首位に踊り出ました。この劇場にふさわしい最高のシナリオといえるでしょう。
不倫問題でイングランド代表キャプテンをはく奪されたジョン・テリーが、一連の騒動以来、初めてウェイン・ブリッジと顔を合わせる試合だからです。テリーの不倫相手はブリッジの元ガールフレンドで、ブリッジと彼女の間には息子がいます。
センターバックのテリーと左サイドバックのブリッジでは試合中の直接対決はあり得ませんので、最も注目を集めたのはキックオフ前の量チームの選手が握手を交わす時。英国中が見守ったと言っても過言ではない、このシーン。テリーが差し出した手をブリッジは握りませんでした。
ブックメーカーはこの試合にさまざまなオプションを設定していました。ふたりが握手をするかどうかはもちろん、「ブリッジがテリーにタックルしてイエローカードをもらう」あるいは「ブリッジがテリーにパンチを食らわして退場になる」など、呆れるほど細かい設定になっていました。
被害者といっていいはずのブリッジは試合中ずっと、チェルシーファンからのブーイングにさらされていました。負傷したアシュリー・コールに代わって、イングランド代表の左サイドバックに返り咲くのでは? と言われたブリッジは、この週に「代表復帰はない」と明言しました。その理由は明かされませんが、今回の騒動が影響しているのは間違いないでしょう。
選手のプライベートは守られるべきだと思いますが、妻子がありながら、元チームメイトの元ガールフレンドに手を出すのは、代表チームのキャプテンにふさわしい行動とは言えません。しかもA・コール(コールはコールで不倫がバレて、シェリル夫人に別居を宣言されてしまいました)の離脱という事態に二番手と思われていたブリッジが拒否したために、ファビオ・カペッロ監督は後任探しに苦労しています。
現段階ではアストン・ビラのスティーブン・ワーノックかエバートンのレイトン・バインズが有力と言われていますが、実力や経験からしても、ベストなのはブリッジが前言撤回して、代表チームに戻ってくれることだと思います。
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店内は古いセルティックのシャツやスカーフ、いろいろなメモラビリアで飾られ、なんだかここがロンドンだということを忘れてしまいそうです。

パーティはコメディアンのお笑いトークから始まり、マッカベニーとマクロースキへの質疑応答へと続きます。いろいろな話題に集まった人たちは一喜一憂していましたが、最高に盛り上がったのはレンジャーズとのオールドファームの裏話でした。
チャリティオークションなども行なわれ、あっという間に時が過ぎていき、帰宅したのは午前4時を回っていました。感心したのは、私たちが店を出る時にも、マッカベニーとマクロースキはまだ店に残って、ファンとのおしゃべりを楽しんでいたこと。名選手だけにタフだし、ファンへの気遣いも一流ですね。
今回、私はこのアイリッシュパブは素敵な場所だけど、危険でもあることを学びました。なにしろ、ここは店内に時計がなく、何時だろうと照明が煌々とついているのです。その明るさときたら、まるでラスベガスなんですから! これじゃあ時間を忘れてしまうわけです。
今回は「セルティックの夕べ」でしたから、問題ありませんでしたが、もしこれが「ハマーズ(ウェストハムの愛称)の夕べ」で午前4時に帰宅したら、私は間違いなく妻にぶっ飛ばされていたことでしょう。