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2010年03月24日

Thursday night, Channel 5!!

ちょうど1年ほど前、リバプールは手がつけられないほど絶好調でした。マンチェスター・ユナイテッド、チェルシーと激しい巴戦を演じ、19シーズンぶりのリーグ優勝も現実味を帯びていました。結果的に優勝したユナイテッドに4ポイント及ばず2位でフィニッシュしましたが、ファンやサポーターはその健闘を大いに称え、新シーズンへの期待に胸を躍らせていたはずです。

とりわけ、フェルナンド・トーレスとスティーブン・ジェラードのコンビが奏でるアタックは、圧巻の一語で、エンターテインメント性にも秀でていました。

いったいだれが、彼らの凋落を予想できたでしょうか——。

たしかに、クラブの財政は火の車で、絶対的な司令塔であったシャビ・アロンソをレアル・マドリーに放出したことをきっかけに、主力に怪我人が続出するなど不運にもたたられました。ですが、そこは名門クラブとして、堪えどころでしょう。どんなチームにも浮き沈みはあるわけで、そういったとき、いかにしてリカバーできるかがスモールクラブとは違う点です。

そう考えれば現在のリバプールの低迷は、ラファエル・ベニテス監督をはじめ、チームを包むムードそのものに原因があるように思えてなりません。求心力の低下は、目もあてられないほどです。

現在の彼らの敵は、ビッグ4のライバルであるユナイテッドやチェルシー、アーセナルではなく、トッテナム、アストン・ビラ、マンチェスター・シティとなっています。優勝争いからは早々と脱落しており、つまるところ、来シーズンのチャンピオンズ・リーグ出場権が与えられる4位の座を、彼らと争っているわけです。

4位に食い込めるか。英国のメディアもこぞってそのテーマを論じています。なぜなら、CLの出場を逃せば財政面はもとより、チーム自体のモチベーションも底をつくとだれもが感じているからです。となれば、指揮官のベニテスを含め、数多くのビッグネームが退団するシナリオも、十分に考えられます。

なかでも去就が注目されているのが、トーレスとジェラードのふたりです。

幼いころからリバプールでプレーしてきたジェラードは、生涯リバプールひと筋を貫くだろうと、だれもが信じています。はたしてそうでしょうか。彼も5月(30日)で30歳。そのポテンシャルからすれば、これまでに獲得したタイトルはあまりにも少ないと言わざるを得ません。より多くの栄光を求めるなら、慣れ親しんだ地に別れを告げてもおかしくはないはずです。「現役をリバプールでまっとうしたい」、「一度でもいいからリバプールでプレミアを制覇したい」とつねづね口にしてきた孝行息子ですが、その可能性は遠のくばかりです。

トーレスの場合は、ジェラードよりも軽やかに、旅立ちの日を迎えるでしょう。生え抜きであるジェラードと違い、彼にはさしたる“しがらみ”がない。チャレンジ精神の塊のようなプレーヤーであることから、タイトル奪取が至上命題となっているようなビッグクラブから好条件のオファーが届けば、心も揺れるはずです。行き先は、バルセロナ、チェルシー、マンチェスター・Cの3つが有力視されています。まさかレアル・マドリーに行くなんてことはないでしょう!(注/トーレスはR・マドリーのライバルであるアトレティコ・マドリーの下部組織出身)

ただ、トーレスの放出は、一選手の話にとどまるものではありません。ワールドワイドなマーケティング戦略を展開しているリバプールにとって、彼はもっとも重要な“コンテンツ”となっているからです。

その価値はいまや、ジェラードをゆうに凌ぐほど。トーレスもジェラードと同様に、タイトルを欲してやみません。そのための補強もなく、CLの出場権をも逃すこととなれば、彼がリバプールにとどまる理由はなくなります。3シーズンを過ごしたマージーサイドを離れる日は、確実にやって来るでしょう。

3月21日、敵地オールド・トラフォードに乗り込んだリバプールは、ユナイテッドに1−2と敗れ去り、またしても足踏みを余儀なくされました。さすがに積年のライバルが相手だっただけによく奮闘しましたが、最後は地力の差が出たといったところでしょうか。

そのゲームで、ユナイテッドのサポーターがこんな言葉を使いながら、リバプールのサポーターに向かって、歌っていました。

“Thursday night, Channel 5!!”

どういった意味か分かりますか? CLは普段、火曜日か水曜日に試合が行なわれます。木曜日に行なわれるのは、ヨーロッパ・リーグ(EL)。そしてそのELを英国で放送しているテレビ局が、『チャンネル5』というわけです。つまり、4位の座はもう危ういから、「木曜の夜、チャンネル5で会いましょう」といった意味合いなのです。うまい表現だなと思いましたが、リバプールのサポーターは頭に血がのぼったことでしょう。

ただ、リーグカップもFAカップもすでに敗退し、リーグ戦は現在6位。ELの出場権(5位)さえも厳しくなっており……。

リバプールはピッチ内外で、プレミアリーグ終盤戦の隠れた“主役”になりそうです。

それではまた。

Have a good weekend!

Steve

投稿者 steve : 13:53

2010年03月10日

ベルナベウ劇場で見た最高のシナリオ

先週末、私はマドリードにいました。サンチャゴ・ベルナベウでレアル・マドリー対セビージャの試合を取材するためです。
この試合のキックオフは午後10時。これがイングランドだったら、観客は待ちくたびれて試合開始前にぐでんぐでんに酔っぱらってしまっていることでしょう! 
これはテレビ放映のためでもあります。この日は3つのビッグマッチがありましたが、デポルティボ対テネリフェが午後6時、アルメリア対バルセロナが午後8時、そしてこの試合が午後10時と間を空けずにテレビ観戦できるようにスケジュールが立てられています。ベルナベウも6時からバーが開店しており、人々は飲んだり食べたりしながら、テレビに見入っていました。
私は自分のプレスシートに座っていましたが、そこでも大音響でダンスミュージックが流されていて、なんだかナイトクラブにいるような気分になりました。
この日はマドリードでは考えられないような寒さでしたが、プレスシートの頭上にはヒーターが設置されていて、スイッチを入れたとたんに温風が出てきて、冷えた身体を温めてくれました。これは嬉しいもてなしです。
私は世界中のスタジアムで試合を見る幸運に恵まれてきましたが、とりわけマドリードを訪れるのが好きです。このチームには常に最高のスターがいます。現在はカカとクリスチアーノ・ロナウドがその代表でしょう。選手の名がアナウンスされる時のファンの歓声とどよめきもベルナベウの素晴らしいショーのひとつです。この日の歓声はわずかながら、ロナウドがカカを上回っていましたが、最大の歓呼はいまだにラウールのものです。エル・ブランコの英雄はやはり彼を置いて他にはないことを思い知らされました。

ベルナベウ劇場の演目はまだまだ続きます。
有名なアリア『誰も寝てはならぬ』がベルナベウに響き渡ります。ルチアーノ・パバロッティの歌が90年イタリア・ワールドカップの英国でのテレビ中継のオープニングに使われ、英国チャートでナンバーワンヒットを記録した、懐かしい曲です。これはうっとりと聞き惚れてしまいました。
そしてふたつの巨大なオーロラビジョンには“白い巨人”レアルの歴史を彩ったスターたちのプレーシーンが流されます。チャンピオンズ・カップ決勝で素晴らしいボレーを放つアルフレード・ディ・ステファノ、エミリオ・ブトラゲーニョ、怪物ロナウド、ロベルト・カルロス、デイビッド・ベッカム、ジネディーヌ・ジダンとレアルの歴史に留まらず、フットボールの歴史に残る、偉大な瞬間が映し出されていきます。
ハイライトショーが終わると、照明が灯り、ベルナベウは真昼のように明るくなります。まるでカーテンが上がった劇場のようです。いよいよ試合開始です。
この試合の勝利によってレアルはついにバルセロナを抜いて、リーグ首位に踊り出ました。この劇場にふさわしい最高のシナリオといえるでしょう。

投稿者 steve : 20:21

2010年03月05日

テリーの不倫騒動が左SB問題に発展?

スタンフォードブリッジでのチェルシー対マンチェスター・シティ戦は違う意味でも大きな注目を集めた試合でした。

不倫問題でイングランド代表キャプテンをはく奪されたジョン・テリーが、一連の騒動以来、初めてウェイン・ブリッジと顔を合わせる試合だからです。テリーの不倫相手はブリッジの元ガールフレンドで、ブリッジと彼女の間には息子がいます。

センターバックのテリーと左サイドバックのブリッジでは試合中の直接対決はあり得ませんので、最も注目を集めたのはキックオフ前の量チームの選手が握手を交わす時。英国中が見守ったと言っても過言ではない、このシーン。テリーが差し出した手をブリッジは握りませんでした。

ブックメーカーはこの試合にさまざまなオプションを設定していました。ふたりが握手をするかどうかはもちろん、「ブリッジがテリーにタックルしてイエローカードをもらう」あるいは「ブリッジがテリーにパンチを食らわして退場になる」など、呆れるほど細かい設定になっていました。

被害者といっていいはずのブリッジは試合中ずっと、チェルシーファンからのブーイングにさらされていました。負傷したアシュリー・コールに代わって、イングランド代表の左サイドバックに返り咲くのでは? と言われたブリッジは、この週に「代表復帰はない」と明言しました。その理由は明かされませんが、今回の騒動が影響しているのは間違いないでしょう。

選手のプライベートは守られるべきだと思いますが、妻子がありながら、元チームメイトの元ガールフレンドに手を出すのは、代表チームのキャプテンにふさわしい行動とは言えません。しかもA・コール(コールはコールで不倫がバレて、シェリル夫人に別居を宣言されてしまいました)の離脱という事態に二番手と思われていたブリッジが拒否したために、ファビオ・カペッロ監督は後任探しに苦労しています。

現段階ではアストン・ビラのスティーブン・ワーノックかエバートンのレイトン・バインズが有力と言われていますが、実力や経験からしても、ベストなのはブリッジが前言撤回して、代表チームに戻ってくれることだと思います。

投稿者 steve : 14:04