« 2009年02月 | メイン | 2009年04月 »
2009年03月26日
サッカー協会の総本山FIFA本部訪問記
私は先週、FIFA本部での会合に出席しました。FIFA本部はスイス最大の経済都市チューリッヒにあります。チューリッヒは山に囲まれた美しい街で、チューリッヒ空港から市街地へ向かう電車の車窓からはアルプスの山々が臨めます。
FIFA本部は街に劣らず、美しい外観の建物です。スイスの高名な女性建築家ティラ・テウスによって設計されたもので、チューリッヒの旧市街には彼女が手がけた人気の高いホテルもあります。ここが世界208か国のサッカー協会(連盟)の総本山というわけです。

建物を取り巻くように、数種類のピッチが作られています。私はビーチサッカーのピッチさえあるのに驚かされました。美しい庭園には各大陸から持ち寄られた草花や樹木が植えられています。この時はちょうどアジアのコーナーの低木が美しい花を咲かせていました。
エントランスへ向かうステップの一つひとつには加盟国の名が刻まれています。アルファベット順なので、ザイールやジンバブエの人は自分の国の名を見つける前に、エントランスを通り過ぎてしまいそうです。
エントランスを入ってすぐに、FIFAが管轄する大会のトロフィーが並べられたキャビネットがあります。コンフェデレーションズ・カップ、U-20ワールドカップ、U-17ワールドカップ、女子ワールドカップ、ワールドクラブ・カップのトロフィーが一堂に並んでいるのは、なかなか壮観です。
最も有名なトロフィーはこれらとは別にされていました。そう、ワールドカップです。このトロフィーは隣に立って写真を撮るのが可能です。さすがにこのトロフィーの前では、誰もが子どものようにはしゃいでしまいます。もちろん私も大興奮でした。

あまり外部に知られてはいないFIFA本部ですが、建物の一部は一般公開されています。もし、チューリッヒを訪れる機会があれば、ここまで足を伸ばすことをおすすめします。本物のワールドカップを間近で目にする、貴重な体験ができますからね。
投稿者 steve : 11:36
2009年03月24日
33年ぶりのアンフィールド訪問
私は先週、チャンピオンズ・リーグのリバプール対レアル・マドリーを観戦するためにアンフィールドを訪れました。アンフィールドに足を踏み入れるのは、1976年以来のことです。両親に連れられて、クリスタル・パレス戦を観にいった時のことです。巨大なスタジアムで空席はほとんどありませんでした。大部分のサポーターは試合の間中、立ちっぱなしで応援していました。“コップ”と呼ばれる有名なサポーターたちの熱狂は今も変わっていませんでした。ヨーロッパ中の有名スタジアムを多く知っている私は、33年ぶりのアンフィールドを少しナメてかかっていたことを認めなければなりません。しかし、実際に足を踏み入れると、アンフィールドは実に感動的で、素晴らしい空気に満ちたスタジアムでした。

アンフィールドの威容は、突然に姿を現わします。まず、これに圧倒されるのです。このスタジアムは民家の背後から、突然に出現するのです。大部分のスタジアムは遠くからその姿を認めることができます。それはオールド・トラフォード(マンチェスター・ユナイテッドのホームスタジアム)、ウェンブリー(イングランド代表のホームスタジアム)、エミレーツ・スタジアム(アーセナルのホームスタジアム)などは皆、そうです。しかし、アンフィールドは違うのです。そして、さらに驚くべきことに、スタンレー公園を隔てただけの反対側にエバートンのホーム、グディソンパークがあります。
日中のリバプールの街は非常に静かでした、しかし、ビッグマッチに対する人々の期待感はそこら中で感じることができました。唯一の雑音はレアル・マドリーのファンのざわめきでした。彼らの大部分は街の通り、バーの外に立っていました。その理由はイングランドではバーまたはレストランでの喫煙が禁止されているからです。スペイン人のフットボールファンはイングランドのファンに負けず劣らずの愛煙家ぞろいのようでした。
キックオフまで30分となっても、リバプールファンの席は閑散としています。しかし、試合開始直前に一気に赤で埋まりました。仕事を終えて駆け付けた人やパブでたっぷりビールを飲んでからやってきた人、あるいはその両方だったに違いありません。そして“コップ”たちは巨大なバナーを広げました。ゴール裏の半分がすっぽり入ってしまうほどの大きさです。この大きさにも圧倒されてしまいます。コップたちが持ったバナーにはビル・シャンクリー、ボブ・ペイズリーといった、このチームの伝説の名将たちの名前が書かれています。もちろん、ラファエル・ベニテス現監督の名のバナーもありました。一方で、選手の名前というのはそんなに多くありません。これが名門リバプールの流儀なのでしょう。
ビル・シャンクリーの銅像と著者
場内に流れていた音楽が止むと、“You’ll Never Walk Alone”の大合唱が始まりました。両手に持った赤いマフラーを高く掲げ、リバプールファンは声を張り上げます。この光景は本当に感動的です。電気に触れたように、感動で髪の毛が逆立ちます。
試合が始まると、リバプールファンのボルテージはいっそう高まります。彼らの耳をつんざく絶叫のおかげで、私の耳には何も聞こえなくなりました。この声援に後押しされたリバプールの勢いは凄まじく、前半からレアルを圧倒していました。結果は4−0でリバプールの圧勝。アンフィールドは訪れる者を圧倒するスタジアムでした。33年前よりも、さらにいっそう恐るべきスタジアムになっていたと私は思います。
投稿者 steve : 15:17
2009年03月16日
興味深いチャンピオンシップの昇格争い
プレミアシップタイトルの行方は、ほぼマンチェスター・ユナイテッドの連覇に決したと見られています。ブックメーカーの何社かが、すでに払い戻しを行なっています。
今季のプレミアリーグで最も熱い戦いといえるのはタイトルレースではなく、プレミアリーグ残留レースでしょう。しかし、その白熱した戦いも、チャンピオンシップの昇格争いには及びません。
プレミアリーグの下に位置するリーグ、「コカコーラ・チャンピオンシップ」は上位2チームが自動的にプレミアリーグに昇格します。そして3位から6位までのチームの間でプレーオフが行なわれます。プレミア昇格最後の椅子を4チームで争うのです。
現在のチャンピオンシップの首位はウォルバーハンプトン・ワンダラーズです。そのウォルブズを昨季プレミアから降格したバーミンガム・シティとレディングが追っています。自動昇格の2つのうち、少なくともひとつは、この3チームのどれかが手にするでしょう。
しかし、プレーオフ圏内進出を狙うチームとなると、一気に激しさを増します。3月11日時点で、試合消化数にバラつきはあるものの、4位のシェフィールド・ユナイテッドから9位のプレストン・ノース・エンドまで、勝ち点差はわずか3しかありません。シェフィールド・U、カーディフ・シティ、バーンリィ、スウォンジー・シティ、ブリストル・シティ、プレストンとどこが出てきてもおかしくない状況です。
現在の上位3チームはいかにもチャンピオンシップらしい、ダイレクトプレーを基本としています。しかし、スウォンジーやドンカスターは流れるようなパスまわしを見せる魅力的なチームです。チャンピオンシップにも多様さが見えてきています。特にスウォンジー監督、ロベルト・マルティネスは今後、プレミアリーグの強豪チームに引き抜かれる可能性もあると思われます。スペイン出身ながら、長くイングランドでプレーしていた彼はヨーロッパと英国のそれぞれの良いところを取りいれたフットボールが可能です。
このスウォンジーとカーディフのふたつのウェールズのクラブが、チャンピオンシップで最少の6敗を守っているのは面白い偶然です。
ここ数年、何度も昇格にあと一歩と迫りながら、チャンスを逃していたウォルブスがようやく悲願を叶えそうです。注目は4月6日のアウェーでのバーミンガム・シティ戦でしょう。これに勝ったほうが一気に有利になるはずです。
もちろん、昇格を賭けた戦いは厳しいものです。ですが、彼らにとっての本当の戦いは昇格してから始まります。プレミアリーグに残留すること。これが最も厳しいことは、過去の昇格チームが証明しています。今季の昇格チーム、ハル・シティとストーク・シティはシーズン序盤にはいい戦いを見せました。しかし、今では降格争いに巻き込まれています。ウエストブロムウィッチ・アルビオンは最も降格に近い位置にいます。果たして、プレミアリーグに昇格するのはどのチームか、また生き残るのはどのチームなのか。シーズン終了まで、目が離せなくなりそうです。
投稿者 steve : 14:17
2009年03月06日
2クラブの敗退に見るUEFAカップの価値
ヨーロッパサッカーの頂点に位置するチャンピオンズ・リーグ。先週の試合、とりわけイングランドクラブがからんだ4試合(インテル対マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリー対リバプール、アーセナル対ローマ、チェルシー対ユベントス)はいずれもスリリングな素晴らしい試合でした。
しかし、そのおかげでUEFAカップはさらに見劣りする大会になってしまいました。
UEFAカップに出場しているイングランドクラブは3つ。そのうちアストン・ビラとトッテナム・ホットスパーはトーナメント敗退が決まってしまいました。
しかし、残念なのは敗退という事実よりも、この大会への参加すら迷惑といわんばかりのクラブの態度です。イヤイヤ戦うチームのために、はるばる極寒のモスクワまでやってきたサポーターの気持ちを考えたことはあるのでしょうか。
アストン・ビラもトッテナムも、レギュラークラスを温存し、ユースチームの選手を加えて戦いました。ビラは8人ものレギュラーを休ませました。この陣容での敗退は当然。それどころか、わざと負けたと言ってもいいでしよう。
シーズン中にはUEFAカップの出場権獲得のためにハードに戦っていながら、翌シーズンにはそれが重荷になって、結局捨ててしまう。スパーズはもろにこの構図にハマってしまいました。彼らはUEFAカップの3日後に、マンチェスター・Uとのカーリングカップ決勝を控えていたからです。ハリー・レドナップ監督は日程の厳しさに不平を言っていました。
ヨーロッパカップとひとくくりにしますが、チォンピオンズ・リーグとUEFAカップには大きな差があります。そのことをトッテナムが証明しました。つまりプレミアリーグで最も軽視されているカップ戦、カーリングカップよりも、UEFAカップのプライオリティは低いということ。さらにいえば降格の可能性を残しているチームにとってUEFAカップは余計な負担にしかならないということです。
来シーズンから、UEFAカップは「ヨーロッパリーグ」と名称変更し、再編成されます。その結果、現状よりもさらに多くの試合をこなすことになるのですが、トッテナムのようなチームはどうなるのでしょうか。この大会が重荷になって、放棄同然に試合を捨てるチームが続出するようなことになるのではと、私は今から心配です。チャンピオンズ・リーグ出場は夢のまた夢というクラブとそのファンにとってはUEFAカップでさえ夢なのに、「このカップには価値がない」と決めつけられるのは心外でしょう。
ビラはモスクワまで駆けつけてくれた290人のサポーターをビラ・パークでのディナーに招待しました。おわびのしるしというやつです。モスクワの寒さと敗戦の悲しさの両方を味わわされたファンにはこれでも足りないぐらいでしょう!
投稿者 steve : 11:25

ビル・シャンクリーの銅像と著者