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2008年06月05日

イングランドがカリブに飛んだ理由

先週末、ヨーロッパ各国はEURO2008(ヨーロッパ選手権)の準備として国際親善試合を行ないました。
しかし、EUROに出場できないイングランドはカリブ海へ飛び、トリニダード・トバゴと対戦してきました。

トリニダード・トバゴは決して強豪国ではありません。
イングランドは各国から試合を申し込まれ、対戦相手については常に選べる立場ですから、シーズンオフとはいえ、中米に遠征してまで、トリニダード・トバゴと対戦する意味があるとはとても思えません。

はっきり言ってしまえば、これは代表チーム強化のためではありません。
トリニダード・トバゴサッカー協会の顧問を務めるジャック・ワーナー氏はFIFAの副会長であり、北中米カリブ海サッカー連盟の会長でもあります。
イングランド・サッカー協会(FA)にとって魅力的なのは、トリニダードの選手たちでも、カリブ海でのバカンスでもありません。
ワーナーFIFA副会長の役職だけがFAをひきつけ、そのおかげでイングランド代表は遠い地で親善試合をやる羽目になったのです。
北中米カリブ海サッカー連盟のボスであるワーナー氏は、その手にワールドカップ開催国の投票権を4票持っているのと同じです。
2018年のワールドカップ開催国に立候補しているイングランドは、ワーナー氏の4票を得られれば、ヨーロッパ全8票と合わせて12票。
イングランドは他の地域から残り1票だけ獲得すればいい計算になります。

トリニダード・トバゴサッカー連盟創設100周年記念試合だった、この親善試合では久しぶりにデイビッド・ベッカムがキャプテンマークをつけました。
イングランド国内ではベッカムを代表に入れるべきか否かについて、まだ論争は続いていますが、ワーナー氏にとってはベッカムの存在はとても重要だったようです。
ベッカムの影響力は今でも大きく、2018年ワールドカップ招致のための広報係としてますます大きくなるでしょう。
それがイングランド代表のファビオ・カペッロ監督にとっては喜ばしいことではないとしても。

2012年にはロンドン・オリンピックがやってきます。
しかし、イギリス国民の反応は嬉しいだけではありません。
なぜならオリンピックの予算が当初の予想を裏切り、だんだん高くなっているからです。
不足分を補うために税金が投入されるわけですが、これはイギリス国民にツケをまわすだけのことで、納税者からは早くも不満の声が出ています。
ただでさえ経済状態が良くないところに、スポーツイベントのためにさらに多くの税金を払わねばならないという事態は国民の望むところではありません。
開催する側は経済効果の大きさを主張しますが、納税者が全員、その恩恵に浴するわけではないのですから。
2018年ワールドカップのホスト国が決定するのは2011年。
その時、イギリスの一般の人々がどんな反応を見せるのか、興味深いところです。

投稿者 steve : 2008年06月05日 13:06