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2006年12月16日

マントバ

今日はワールドサッカーダイジェストの契約カメラマン、リングリア氏と打ち合わせの為、彼の事務所のあるマントバを訊ねました。

マントバはミラノから列車で2時間、A.C Mantovaというチームがあります。
昨シーズンはセリエBで堂々の4位になり、昇格プレーオフに臨みましたが、残念ながらトリノに敗れて今年もBでプレーしています。

マントバを訪れる機会は読者の皆さんもほとんどないと思いますが、スタジアムは駅から徒歩で20分、1万2000人収容の小さなものです。
でも小さな町にも「オラがチーム」があり、スタジアムがあるということにちょっと感動します。

マントバスタジアム.jpgスタディオ ダニロ・マルテッリ。マルテッリは地元出身のプレーヤーでトリノに在籍中、チームの飛行機事故(スペルガの悲劇)で亡くなったそうです。スタジアムは1977年に竜巻で全壊し、建て直されたということです。

マントバは1月にホームでユベントス戦がありますが、チケットはすでに売り切れ。
しかも、ユベントス戦だけではなく、他の2試合とセットで売られたそうです。
リングリア氏は呆れていましたが、この収入でチームが潤えばそれはサポーターに還元されるわけですから、僕としては良いことだと思います。
ちなみに、今シーズン、ユベントス戦の一試合で1シーズン分の入場料収入を得たチームがセリエBにはいくつもあるそうです。

スタジアムを案内してもらい、事務所に着くと電話を一本。
しばらくすると、店頭(彼の事務所は実家にあり、実家は写真屋さんです)に若いお兄さんが1人現れました。
親しげに挨拶を交わし、なにやら話をしています。
そして、僕を彼に紹介し、彼を僕に紹介します。
「え~、彼はマントバの選手でフォワードのNosselli(ノセッリ)君です。練習が終わったのでチョッと寄ってもらいました」

さらに、「せっかくここまで来てもらったので、お土産に彼のユニフォームを持って帰ってもらおうと思って届けてもらいました。はい、ノセッリ君ここにサインしてね」

ノセッリ.jpgこのユニフォームは実際に彼が着用して試合に使ったものです。(もちろん、洗濯済みです)。こっそり、ガゼッタで今週末の試合の予想スタメンを見たら、ちゃんとNosselli選手の名前は載っていました。

冗談抜きで唖然です。いくらBといったって、相手はセリエのプロ選手。
その選手に気軽に、お土産にするからユニフォームにサインしてくれとは‥
でも、リングリア氏がノセッリ君に強要しているようには全然見えませんし、ノセッリ選手も穏やかに僕と握手して、「名前の綴りを教えて下さい」などと言います。本当に、“優しい笑顔で”です。

後でリングリア氏は、「プロの選手が地元のファンにサービスするのはあたりまえ。彼に近況を聞いて、僕が仕事をしているサッカーダイジェストのカメラマンが日本から来ているから、チョッと寄ってサインできる?って頼んだだけ」と涼しい顔をして言っていました。
ま、携帯電話の番号を知ってるんですから、本当に友だちなんでしょう。

アルベルトユニ.jpg選手からプレゼントされたユニフォーム(300枚近くあるそうです)。すべて、実際に着用したものです。サインの入ったものもありますが、それはあまり重要ではなさそうです。選手のプレーを素晴らしい写真に撮り、それを選手が見て彼の腕を認め、友だちになりプレゼントされることに意味があるのでしょう。なんていっても、試合前の練習から引き上げるフィーゴ選手に本誌を持たせて写真を撮ってしまう現場をかつて見ましたから。

もちろん、ビッグクラブの有名選手では呼び出してサインは不可能でしょう。
地方都市の小さなクラブだからこそ、そこに住むファンはクラブと選手を大事にする。そして、選手は地元のファンを大事にする。ファンの友人もファンとみなして大事にしようとするからこそできることです。

カルチョを支える底辺を垣間見た、貴重な体験でした。
マントバ、頑張ってセリエAに昇格してほしいです。

ママ.jpgリングリア氏のお母さん。素晴らしくおいしい家庭料理をごちそうになりました(役得、役得)。マントバは温かい人ばかりです。

投稿者 wsdnet : 2006年12月16日 08:54